2009年08月14日

フィクション_借金

 彼女が私に電話を掛けてきた時、そのようなことを言われることを、私は全く予測できなかった。
 液晶ディスプレイに表示された名前、受話器を持ち上げた時に感じる重み、そして相手の名乗り方によって、電話が掛かってきた時に人はこれから始まる会話の内容を予測する。多くの人は無意識的にせよ意識的にせよ自分がそれを行っていることを知っているだろうし、それなりの割合でそれが的中することも知っているだろう。
 私もまた多くの人だし、その時の予測もまた多くの予測のうちの一つに過ぎないはずだった。少なくとも彼女のそのせりふを耳にするまでは、明日我が家に持ってくるビールの本数のことだろう、という私の予測は揺るぎなかった。

 「貸してたお金返して」と彼女は言った。

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2008年08月15日

喪失と喪失体験

 今どうなっているかは知らないが、周囲の人々の子供時代を聞くと、どんな田舎にも一つや二つは遊園地やそれに類する施設があったようだ。

 私が育った場所もまずまずの田舎だったが、街から十五分ほど車で走った山間に、こぢんまりとした遊園地があった。他県から人が足を運ぶような知名度はなく、地元の人間がたまのレジャーで訪れる程度のものだった。遊具の数は少なく、これといって目新しいものはなく、一回転ループするジェットコースターが一応目玉ということになっていたが、私の子供時代でさえそんなものは時代遅れだった。

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2008年08月14日

サイトを作る

 まったく、クソが溶けるほど暑い日々が続いている。
 こんなm.c.A.T.に耳許でボンバヘッと囁かれ続けているような暑さの中で一体何をすればいいというのか。 墓参りはしたし海はワカメ臭いしプールは脂肪で溢れている。自転車はペダルが盗まれたままだし、そもそも私の懐には電車に乗ってどこか遊楽な地へ出掛けられるようなカネは溜っていないのである。

 ならばもう、ウェブサイトを作るしかないではないか。幸い電気は止まっていないし、滞納していた電話代も払ったばかりだ。パソコンのOSはMacOS9.2というランバダと同じくらい忘れられたOSだが、驚く無かれ、きちんと文字を打つことができるのだ。文字が打てればサイトは作れる。Dreamweaver?GoLive?ホームページビルダー?ブルジョアに鉄槌を!即物主義者に遺失物収容所の檻を!貯蓄報国!捲土重来をタブレットに誓え!と、m.c.A.T.に耳許で囁かれるようにして私はミミカキエディットを開くのであった。m.c.A.T.ファンの皆様、ごめんなさい。
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